満身創痍のフローレンス到着と最大の危機 - 音楽探求のためだけにアメリカに一人旅した話day2-2

フローレンス到着

座席の予約時点で既に察しは付いていたものの、実際に目の当たりにするとその小ささに驚く。

 

フローレンス便の機内の様子

 

フライト時間は1時間弱だったため、飛行機が動き出した瞬間にはもうフローレンスに到着したのも同然だと思い、内心ホッとしていた。

 

「SGさん(前日譚その2参照)が言った通りにUberを呼んで早くホテルに向かおう、そしてベッドにダイブして疲れを癒そう!」

 

と、思っていた矢先に飛行機は下降を開始した。

 

 

外を見る。

 

着陸直前の窓の景色

 

…あれ、こんな所に空港なんてあるの??

 

 

見渡す限り森である。

 

 

みるみる高度が下がる。

 

 

飛行機が森の中に突っ込んでいく。

 

 

ドンッという鈍い音がする。

 

滑走路に着陸したみたいだが、周囲は変わらず森である。

 

 

飛行機を降りた。

 

フローレンス空港到着直後の様子

 

フローレンスが如何に辺鄙な場所なのかを肌で実感した。

 

満身創痍でスペックの落ちた頭が、危機感のようなものでフル回転し始める。

 

 

 

「とにかくUberだ、Uberを…」

 

 

 

 

 

(30分経過)

 

 

 

 

 

何度試してもスマホの画面は「ドライバーが見つかりません」と表示される。

 

 

 

日が暮れていく。

 

 

空港からホテルまでは約8 km。

ホテルまで歩ききれる体力が残っているかも怪しい。

第一、見ず知らずのアメリカの田舎で夜道を歩くわけにもいかない。

身ぐるみをはがされようが何されようが、助けを呼んでも来るわけがないと悟った。

 

 

 

―終わった。

 

絶望の淵に立つとは、まさにこのことである。

 

 

カウンターのオジサンに助けてもらう

とりあえず、このままではどうしようもないと思い、人に頼ることにした。

 

レンタカーの受付カウンター(?)にいた白人のオジサンに声を掛けた。

英語力とかはもはや関係ない、とにかく気合で特攻した。

 

 

「すみません今困ってて、、、Uberでホテル行こうとしてたんですけど、ドライバーがいなくて…」

 

 

 

オジサン「こんな小せぇ街じゃ誰もUberなんてやってないよ(笑)」

 

 

「え!どうしたらいい?どうしてもホテルに行かないと…!」と、気合のコミュニケーションで伝えた。

日本語が通じない相手にここまで強気に出れたのも、状況が背水の陣だからだろう。

 

 

オジサンが、地元のタクシー会社の電話番号を教えてくれた。

 

しかし、何故か自分の携帯から電話が繋がらない。

 

 

結局、そのオジサンが地元のタクシーを呼んでくれた。

心の底から“Thank you so much”と伝えた。

 

 

本当にオジサンには感謝しかない。

が、自分も満身創痍の状態でよく頑張ったと思う。

 

タクシーを待っていたときに撮った写真

 

タクシーの運ちゃんエピソード

オジサンが呼んでくれたタクシーが到着した。

乗り込み、運ちゃん(イカツめな黒人)に宿泊先のホテルを伝える。

 

Google mapを開いて変な場所に連れて行かれていないか警戒しつつも、やっとホテルにたどり着けると安心もしていた。

 

オジサンと気合コミュニケーションを交わした直後かつ安心した状態だったため、その勢いでタクシーの運ちゃんに話しかけてみた。

運ちゃんに「好きなギタリストのライブを見るために日本から来た」と言ったら、「日本人なんてこの街で初めて見たよ!」と言われた。

 

絶望の後だったのも相まって、自分が相当なことをやっていることを改めて自覚した。

 

 

だいぶ打ち解けてきたタイミングで、運ちゃんが「そっかアンタ日本人だったらこれ知ってる??ええと、何だっけ…?」と続きが気になる発言をし始めた。

どうやら翻訳アプリを使って続きを説明したいようで、赤信号の間に手元のiPadでアプリを立ち上げようとしていた。

 

 

しかし、アプリがインストールされておらず、手間取っている間に青信号になってしまった。

 

 

そして、運ちゃんは話を続けるのを諦めてしまった。

 

こちらから別の話を切り出せるような雰囲気でもなかったため、そのまま両者ともに黙りこくってしまった。

 

運ちゃんは、それまでの話を無かったことにするかのごとく、EDMを爆音で流し始めた。

 

 

車内に気まずい雰囲気が充満したまま、タクシーはホテルに着いた。

 

 

満身創痍でもなかなか眠れない

ホテルのチェックインを済ませ、部屋に入る。

 

ホテルの部屋の様子

 

ホテル自体は、高速道路(ハイウェイ)のジャンクション近くのモーテル的な所である。

1泊1万円以下の比較的安い宿(フローレンスでは最安値クラス)だが、ベッドが大きく思ったよりも快適そうな印象だ。

 

さっそくシャワーを浴びた。

シャワーを浴びながら、ホテルの石鹸で足踏みの洗濯もした。

 

洗濯機のない状況での洗濯は十分な脱水が難しいため、いかに早く洗濯物を干し始めるかが重要である。

そのため、何が何でも着いた直後にやるぞと決めていた。

乾きやすさで服を選んだのは本当に正解だったが、それでも満身創痍の身体にとっては苦行だった。

 

何とか洗濯物を干し、ベッドに横になろうとした瞬間に第二の絶望が訪れた。

 

 

 

完璧な状態で出したつもりでいた修論に不備があり、修正と再提出が必要との連絡が来たのだ。

 

 

ノートPCも無い、、、どうしよう、、、、、、、、

 

 

ああああああああああああああああ(精神崩壊)

 

 

この瞬間が、この旅で一番の絶望のピークだったと思う。

ただでさえ疲労困憊で満身創痍の状態だったところに、まさかのトラブルが襲い掛かってきたのだ。

 

 

熟考・相談の末、他の人に急遽修正作業をお願いする方法を取ることにした。

修正を代わりにやっていただける請負人が見つかり、やっとのことで眠りについた。

 

 

こういうトラブルは予期せぬ所から雪崩的に発生しがちである。

このことを強く再認識した2日目であった。

 

そして、3日目はついにAndy Timmonsのライブである―

 

(続く)