Andy Timmons’ master class
女性職員さんに導かれるまま、masterclassが開講されている部屋にたどり着いた。
たまたま遅刻してきたFMU(ライブ会場の大学)の学生と一緒に中に入り、空いていた席に座った。
あまりの突然の出来事に、理解が追い付かなかった。
「今、前で喋っているセンター分け白髪の白人小太りオジサンは紛れもないAndy Timmonsだよな…?
ええと、IbanezのRGシリーズのボディ形状で、2トーンサンバーストの色、メイプル製で22フレットの指板、SSHのピックアップ配列、ピックガードの先っちょが割れた状態で使用感のあるギターを持っている。
間違いない。この人はAndy Timmonsだ。」
…こんな感じで頭の中がぐるぐると混乱していた。
masterclass自体はもちろん英語だったため、ここまで気合コミュニケーションで凌いできた純ジャパニーズの自分は何を言っているのか聞き取り切れなかった。
突然Andy Timmonsのmasterclassに放り込まれることを想定できていたら、もっと意欲的に英語学習に取り組めたのに…と後悔した。
(前々から想定していたら、それもそれで逆に怖いが…)
終始Andyが何を言っていたのかあまり聞き取れなかったが、一つ非常に興味深いことを知ることができた。
それは、Andyが(絶対)音感を持っていないことだった。
それが判明したきっかけというのも、(日本からわざわざフローレンスまで会いに来る人がいるほど)目の前の講師が素晴らしいミュージシャンだということを知らなさそうな態度で、ドレッドヘアの黒人の学生が絶対音感の有無について質問したことだった。
ドレッドヘアの彼はどうやら絶対音感持ちのようで、Andyが適当に”hey”と言った音を当ててイキっていた(ように感じた)。
それに対して、Andyは「(君の絶対音感は)素晴らしいスキルだね!ちなみに自分は(絶対音感を)持ってないけど~…」と、絶対に為になる話を続けた。
しかし、気合コミュニケーション頼り純ジャパの自分には聞き取れなかった。
突然Andy Timmonsのmasterclassに放り込まれることを想定できていたら、もっと意欲的に英語学習に取り組めたのに…と後悔した。(2回目)
Andyのファンサ
Masterclassが終わった直後、自分は興奮を抑えきれずAndyに突撃した。
緊張で気合コミュニケーションすら成立したか怪しかったが、自分がAndyのbig fanで、ここでライブがあると知って日本から来たと伝えた。
Andyは驚きつつも、喜んでくれた。
なんと、つい先ほどまで使っていたというピックをくれた。
さらに、一緒に写真を撮ってもらった。
その後も会話は続き、自分がAndyのライブ映像を何度も見ていること、Cry for Youという曲のライブ映像については感激しすぎてライブで再現したこと(前日譚その1参照)を伝えた。
すると、Andyが信じられないことを言った。
「よかったらこのギター弾く?そのCry for You弾いたときのギターだよ!」
今でもにわかに信じがたいが、Andyのギターを触らせてもらったのだ。
ファンとしてあまりにも感激がすぎるサービスを受けてしまった。
それも、日本からフローレンスにまで来るクレイジーな見ず知らずのファンに対して、嫌味も裏表も分け隔てもなく接してくれたのだ。
Andy Timmonsは、国籍や言語の壁を越えたそんな「人間としての良さ」を強く感じられる聖人オーラを纏っていた。
アンディーズと女性職員さんの神おもてなし
Andyのファンサを受けたり話し込んだりしているうちに、周りがAndyの同伴者2人(同世代の地元仲間みたいな雰囲気)と、masterclassに導いてくれた女性職員さん、Andyと自分を含めて5人だけになっていた。
自分が4本の飛行機を乗り継いで来たこと、約6 km先のホテルから歩いて会場に来たことなど(詳しくは前回までの記事を参照)を話しているうちに、気づけば自分が逆に他4人をビックリさせる側に回っていた。
「はぁーー、ようやるわ~~~」
「疲れたでしょそれ?!」
「いや本当にわざわざフローレンスまで来てくれてありがとうねぇ」
「えぇ??あんなところ人が歩く場所じゃないよ!」
みたいな反応をもらった。
すると、
女性職員さんが
「ここの近くのホテル、私が言えば一泊ぐらいさせてあげられるよ」
え???マジで???
お金の問題とか大丈夫か聞けば、女性職員さんは全然問題ない(タダで泊っていいよ)という。
(女性職員さん、ナニモノ…??)
すると、Andyと同伴者2人(名付けて”アンディーズ”)も続くように、
「ライブまで時間あるし、ホテルまで車で送るよ!」
「今のホテルキャンセルするの手伝うよ!」
「よっしゃ!Tommy(自分のこと)!車乗って!」
(え…???いいんですか?????)
というわけで、アンディーズと女性職員さんの神おもてなしに導かれ、宿変更ドライブが始まった。
宿変更ドライブ with アンディーズ
アンディーズのメンバーは、女性のJulie(Andyの奥さんではなさそう)と男性のJohnそしてAndyである。
全員50代後半で、自分の親と同世代みたいだった。
どうやら、Julie車がAndyの送迎、John車が機材の運搬といった感じの役割分担らしい。
まず、自分はJulie車の後部座席に案内され、助手席にはAndyがいた。
(なんと、Andyも宿変更ドライブについてきてくれたのだ!)
Julie車の中では、なんとAndyが「TommyのCry for You見たい!」と言い、自分のCry for Youの演奏を見てくれることになった。
↑本人に見てもらった私・富川のCry for Youの動画
最初の「Cry for You (Live) – Andy Timmons」という表示を完全に丸パクりしたところにも気づいてくれた。
途中「病気になったら代わりに弾いてもらおうかなww」とジョークを言われたが、畏れ多すぎて反応に困った。
結局、Andyは途中で止めることなく最後まで見てくれた。
そして喜んでくれた。
(ミスした部分を見られている間は生きた心地がしなかったが…笑)
自分も感激だった。
まさか、ライブでやることにした時点では、直接本人に見せる日がとは夢にも思っていなかった。
そんな幸せな時間を過ごしているうちに、もともと宿泊していたホテルに着いた。
Julieがフロントに行ってキャンセルの手続きをしてくれた。
自分はその間に部屋に戻り、荷物をまとめた。
ちょうど自分の荷造りとJulieのキャンセル手続きが同じタイミングで終わった。
JulieとAndyは別に寄る場所があるとのことで、今度はJohn車で会場近くのホテル(女性職員さんが抑えてくれた所)に向かった。
Johnは、髭を生やして恰幅がよく、絵に描いたような「ワイルドアメリカン」な見た目をしていた。
Johnもギタリストで、杢目の美しいレス・ポールの写真を待ち受けにしていた。
Johnから「アメリカで何食ったんだい?」と聞かれ、「ハンバーガー」と答えると、
「ハンバーガーうめェよな!!俺のこのお腹はハンバーガーで出来てるぜ!!ハハハー!!」
というワイルドアメリカンな字幕がよく似合う返答をもらった。
しばらく話をしていると、Johnが名言みたいな口調で
”Andy Timmons is good human being.(アンディ・ティモンズは良い『人間』だよ)”
と言っていた。
やはり、Andy Timmonsから感じた聖人オーラはホンモノらしい。
身内(アンディーズのメンバー)が言うなら間違いないだろう。
そして、そんな話をするJohnからも、前のホテルまで送ってくれたJulieからも、Andyと同じような聖人オーラを感じられた。
類友というか、似た者同士とうか、聖人の元には聖人が集まるということなのか…。
自分もそんな聖人オーラを、アンディーズのように振り撒ける人でありたいなと強く思った。
車内で楽しく話をしているうちに、女性職員さんが話を付けてくれたホテルにたどり着いた。
Johnは自分がルームキーを受け取る場面まで付いていてくれて、「また今夜!」と言って別れた。(やはりJohnも相当な聖人である)
部屋に入ると…
豪華!!!!!!
女性職員さん(名前を知らない)!!!!えええ!!!!
こうして、アンディーズと女性職員さんという聖人たちから、受け止めきれないほどの神おもてなしを受けてしまったのであった。
もう感謝感激ゲージが振り切りすぎて、この感謝を伝える語彙力・表現力がいくらあっても足りない。
というわけで、聖人たちの神おもてなしはまだまだ続く…(更新お楽しみに!)
※この時点でライブがまだ始まってすらいないことに注意されたい。